転職回数が多い看護師の次の職場選び|職歴の伝え方と確認すべき条件

職歴と担当業務を時系列で整理する看護師のイラスト

「看護師として転職回数が多いと、次の転職で不利になるのでは」と不安になる方もいるでしょう。

ただし、「○回以上転職していると採用されない」という全国共通の基準があるわけではありません。厚生労働省が示す公正な採用選考の基本でも、採用は求人職種を遂行するために必要な適性・能力を基準に行うことが示されています。

転職回数が気になっている場合に大切なのは、回数だけを数えることではありません。

  • それぞれの職場でどのくらい働いたか
  • どのような業務を担当したか
  • なぜ退職したのか
  • その経験から何を学んだか
  • 次の職場では何を確認すれば同じ問題を繰り返しにくいか

を順番に整理することです。

この記事では、転職回数が多い看護師が職歴を整理する方法、応募書類や面接での説明方法、次の職場で長く働くために確認したい条件を具体的に解説します。

この記事の監修

酒井 崇
(株式会社エスネットソリューション)

株式会社エスネットソリューション代表取締役

株式会社エスネットソリューションは、大分県にある医療・介護・福祉に関わるすべての方をトータルにサポートする会社です。

医療・介護・福祉に特化した無料の転職サポートを、大分県をはじめ全国で提供しています。

目次

転職回数だけで結論を出さず、職歴と理由を整理する

ノートに転職条件を書き出す看護師のイラスト

最初に行いたいのは、「転職が多い」という一つの問題としてまとめるのではなく、退職につながった原因を職場ごとに分けることです。

同じ短期離職でも、夜勤と生活リズムが合わなかった場合、中途採用後の教育が不足していた場合、家族の事情が変わった場合では、次に選ぶべき職場が違います。

たとえば、次のように整理できます。

原因の分類具体例次の転職で考えること
勤務夜勤回数、残業、オンコール、早番・遅番、通勤時間などが生活に合わなかった続けられる勤務時間や夜勤回数を具体化する
教育未経験業務の教育期間が短かった、質問できる担当者が不明確だった中途入職者への研修、独り立ちの進め方、相談体制を確認する
生活育児、家族の介護、転居などで勤務継続が難しくなった現在の生活で無理なく続けられる勤務条件を決める
健康・安全交代勤務による体調への負担、安全面への不安などがあった無理に我慢するのではなく、勤務可能な範囲や必要な配慮を整理する
仕事内容希望していた看護と実際の担当業務が大きく異なった配属先、患者層、主な業務、異動の可能性を確認する

原因は一つとは限りません。「人間関係が合わなかった」と感じていても、詳しく振り返ると、教育担当が毎日変わって指示が一定しなかった、欠員が多く相談できなかった、希望していた勤務と実際のシフトが違った、といった確認可能な要因が見えてくることがあります。

転職理由を整理するときは、「前の職場の何が悪かったか」だけではなく、「自分は何を事前に確認すればよかったか」まで考えることが重要です。

厚生労働省のジョブ・カード制度も、これまでの職業経験や得た能力を振り返り、今後のキャリアを考えるための仕組みです。職歴が多く、自分だけでは整理しにくい場合は、こうした様式を下書きとして利用できます。

勤務期間・担当業務・転職理由の整理表を作る

職歴と担当業務を時系列で整理する看護師のイラスト

応募書類を書く前に、まず自分だけが見る「職歴整理表」を作ると、面接で説明がぶれにくくなります。

厚生労働省のマイジョブ・カードにも職務経歴を整理する様式があります。応募先へそのまま提出するかどうかとは別に、自分の経験を棚卸しする用途に利用できます。

以下は整理方法を示すための架空例です。

表は横にスクロールして全項目をご確認いただけます。
職歴勤務期間担当業務退職理由学んだこと次に必要な条件
A病院・急性期病棟1年4か月内科病棟での観察、点滴管理、入退院対応、夜勤夜勤を含む勤務と生活リズムの両立が難しくなった優先順位をつけて複数患者へ対応する経験を得た夜勤回数と勤務時間を入職前に確認する
Bクリニック7か月外来診療補助、採血、患者説明家庭事情が変わり、当時の勤務時間では継続できなくなった外来での短時間の情報収集と患者対応を学んだ現在の生活に合う終業時刻と休日条件を確認する
C病院・療養病棟10か月療養病棟での観察、生活援助、処置未経験業務への教育方法と自分の習熟状況が合わなかった分からない技術は早めに確認し、練習機会を確保する必要性を学んだ中途入職者の教育担当、独り立ちまでの進め方を確認する

表を作るときは、「忙しすぎた」「雰囲気が悪かった」といった感想だけで終わらせず、できるだけ具体的な出来事に置き換えます。

たとえば「教育がなかった」ではなく、「経験のない処置について、見学・実施確認をどのような手順で行うのか分からなかった」と整理すると、次の職場で「未経験技術はどのように習得しますか」と質問できます。

一方、職歴や経験そのものは事実に沿って整理してください。在籍期間を実際より長くする、短期の職歴を意図的に隠して説明のつじつまを合わせる、経験していない診療科や技術を経験済みとして加えることは避けます。

看護師の場合、「応援で数回入った診療科」と「正式に配属され継続して担当した診療科」でも経験の意味は異なります。自分が実際にどこまで担当したかを説明できる状態にしておきましょう。

応募書類と面接で転職理由の一貫性を伝える

転職について相談する看護師のイラスト

転職回数が多い場合は、履歴書、職務経歴書、面接で説明が食い違わないことが重要です。

ハローワークは、履歴書・職務経歴書の書き方を公開しており、履歴書だけでなく職務経歴書の作成方法も案内しています。

それぞれの役割を次のように分けると整理しやすくなります。

履歴書は職歴の事実をそろえる

履歴書では、勤務先名や在籍期間などの基本的な経歴を正確に記載します。

転職回数を少なく見せるために勤務期間を変更するのではなく、応募先から指定された形式に沿って事実を記載します。

職務経歴書では「何をしてきたか」を伝える

職務経歴書では、病院名を並べるだけでなく、診療科、担当業務、患者さんとの関わり、習得した技術などを整理します。

転職回数が多くても、複数の職場を通じて共通して経験してきた看護や、次の職場で生かせる経験があれば明確にします。

たとえば、「急性期病棟、外来、療養病棟を経験した」という事実だけでなく、「患者さんの状態を短時間で把握する力を外来で学び、療養病棟では継続観察の重要性を学んだ」のように、経験から得たものを具体化します。

面接では「理由→学んだこと→次の条件」まで話す

退職理由だけを説明すると、「また同じ理由で辞めるのでは」と疑問を持たれる可能性があります。

そこで、

  1. 何が理由で退職したか
  2. その経験から何を学んだか
  3. 次の職場では何を確認しているか
  4. 応募先でなぜ継続できると考えているか

まで一続きで説明します。

たとえば「夜勤がつらかったので辞めました」で終えるのではなく、「交代勤務と生活の両立が難しかったため退職し、自分が継続できる夜勤回数を整理しました。今回は勤務体制を確認したうえで応募しています」とすれば、過去の理由と今回の職場選びがつながります。

理由別の面接回答例と避けたい表現

求人資料と確認リストを照合するイラスト

ここからの回答例は、伝え方を示すための架空例です。実際の面接では、自分の職歴と事実に合わせて修正してください。

短期離職を説明する架空例

「前職は入職後5か月で退職しました。入職前に中途採用者の教育方法を十分確認しておらず、未経験の業務をどのような手順で習得するかについて自分との認識に差がありました。この経験から、次の転職では教育内容と相談体制を事前に確認するようにしています。今回も中途入職後の研修について確認したうえで、長く勤務したいと考えています。」

短期だった事実を隠すのではなく、「なぜ起きたか」「次は何を変えるか」を続けて説明しています。

家庭事情で退職した場合の架空例

「前職は家族の事情により、それまでの勤務時間で働き続けることが難しくなり退職しました。現在は生活面の調整ができており、今回募集されている勤務時間であれば継続できる見通しです。長く働くため、シフトの決まり方や勤務時間について応募前から確認しています。」

家庭の詳細を必要以上に説明することより、現在どのような条件なら働けるのかを明確にすることが重要です。

勤務条件の不一致を説明する架空例

「前職では、入職前に自分が勤務できる時間帯について十分な確認ができておらず、実際の早番・遅番を含むシフトと生活の両立が難しくなり退職しました。この経験から、今回は夜勤だけでなく早番・遅番の有無や勤務時間の幅まで確認して応募しています。」

「条件が違った」とだけ伝えるのではなく、自分側でも確認方法を改善したことを加えます。

健康面を理由とする場合の架空例

「以前は交代勤務による体調への負担があり、勤務継続が難しくなったため退職しました。現在は自分が無理なく働ける勤務条件を整理しており、その範囲で勤務できる職場を探しています。」

健康上の事情がある場合、無理に我慢して同じ勤務を選ぶ必要はありません。安全に勤務するために必要な条件や配慮がある場合は、自分が説明できる範囲で整理しておくことが大切です。

厚生労働省の公正な採用選考では、本人の適性・能力に基づく採用を基本とし、合理的・客観的な必要性が認められない採用選考時の健康診断などにも配慮を求めています。

避けたいのは、理由を感情だけで終わらせること

次のような表現だけでは、次の職場で何を変えるのかが伝わりません。

避けたい表現整理する方向
「人間関係が最悪でした」どのような連携・相談体制が必要だったのかに置き換える
「忙しすぎて無理でした」残業、夜勤、受け持ち、業務範囲など何が負担だったのかを分ける
「自分には合いませんでした」仕事内容、教育、勤務条件のどこが合わなかったのかを具体化する
「次は頑張るので大丈夫です」継続するために確認した条件や変更した行動を説明する

前職への不満を隠す必要はありませんが、面接では相手への批判より、事実と今後の対策を中心にすると説明が一貫します。

長く働くために応募先で確認する条件

希望条件のカードを整理する看護師のイラスト

転職回数が多い看護師にとって、求人選びで最も重要なのは「今度こそ我慢すること」ではなく、「これまで辞める原因になった条件を応募前に確認すること」です。

過去の退職理由を、そのまま応募先への質問に変えてみましょう。

過去の退職につながった理由次に必要な条件応募先へ確認する質問例
夜勤や交代勤務が生活に合わなかった継続できる夜勤回数・時間帯「夜勤はどのような体制で、入職後はどの時期から担当しますか」
残業が生活へ影響した業務終了の見通しが持てる「残業が発生しやすいのはどのような日ですか」
中途教育が合わなかった段階的な教育と相談担当「中途入職者はどのように業務を覚え、独り立ちを判断しますか」
未経験技術への不安が大きかった技術確認や練習の機会「未経験または久しぶりの処置は、どのように確認してから担当しますか」
家庭との両立が難しかった勤務時間やシフトの見通し「早番・遅番や休日勤務を含め、勤務パターンを教えてください」
仕事内容が想定と違った配属先と担当業務の明確化「入職直後の配属先と主な業務、将来の異動範囲を教えてください」
健康上、特定の勤務が難しかった無理なく安全に働ける勤務「希望している勤務条件で継続して働くことは可能でしょうか」

求人票を見るときも、「給与が高い」「家から近い」だけで決めず、過去の退職理由と関係する項目から確認します。

2024年4月以降、求人募集時には「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」など、明示すべき労働条件が追加されています。詳しくは厚生労働省の募集時等に明示すべき事項で確認できます。

また、労働契約を結ぶ際には、使用者は賃金、労働時間などの労働条件を明示する必要があります。厚生労働省の採用時の労働条件明示に関する案内も確認しておきましょう。

面接で聞いた内容だけで判断せず、入職を決める前に労働条件通知書や雇用契約書と照らし合わせることが大切です。

特に、自分が過去に退職する原因になった勤務時間、夜勤、業務内容、就業場所などについては、口頭で聞いて終わりにしないようにします。

なお、前職で労働条件、安全面、ハラスメントなどの問題があり、どこへ相談すればよいか分からない場合は、厚生労働省の総合労働相談コーナーでも職場のトラブルに関する相談を受け付けています。

まとめ|転職回数が多い看護師は「次に何を変えるか」まで整理する

次の職場選びを考える看護師のイラスト

転職回数が多いことが気になると、過去の職歴を少なく見せることや、面接で退職理由をどう取り繕うかに意識が向きやすくなります。

しかし、次の職場で同じ問題を繰り返さないために必要なのは、職歴を事実どおり整理し、退職理由から次に必要な条件を見つけることです。

まず、勤務期間、担当業務、退職理由、学んだことを書き出します。そのうえで、退職につながった原因が勤務、教育、生活、健康・安全、仕事内容のどこにあったのかを整理してください。

面接では、

「過去の退職理由」 →「そこから学んだこと」 →「次の職場に必要な条件」 →「今回の応募先で確認したこと」

をつなげて説明すると、職歴全体に一貫性を持たせやすくなります。

そして求人を比較するときは、給与や知名度だけではなく、「過去に辞める原因となった条件が解消できるか」を基準に確認します。

転職回数そのものは変えられません。一方で、過去の経験をどう整理し、次の職場をどの条件で選ぶかは変えられます。職歴を隠したり経験を付け足したりせず、次に長く働くための判断材料として過去の転職を活用しましょう。

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この記事を書いた人

ナースの休憩室編集部です。ナースの方のキャリアや悩みに向き合うサイトです。

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