看護師1年目で転職を考えると、「すぐに辞めるのは甘えではないか」「次の職場でも続かなかったらどうしよう」と、不安や罪悪感を抱くことがあります。
新人として覚えることが多く、失敗への怖さや周囲との比較で、悩みを大きく感じやすい時期でもあります。
だからこそ、年数だけで「続けるべき」「辞めるべき」と決めないことが大切です。
心身の状態、安全に働ける環境か、教育や相談が受けられるかを確認し、現職で改善できることと転職が必要なことを分けて考えましょう。
この記事では、看護師1年目で転職を考えたときの判断軸と、次の職場選びで確認したい点を解説します。
働き方の選択肢を整理する際は、看護師の転職相談の進め方も参考にしてください。
- 看護師1年目が転職を考える前に確認したい状態
- 現職で相談できることと、抱え込まない進め方
- 次の職場で必ず確認したい教育体制と安全面
この記事の監修

酒井 崇
(株式会社エスネットソリューション)
株式会社エスネットソリューション代表取締役
株式会社エスネットソリューションは、大分県にある医療・介護・福祉に関わるすべての方をトータルにサポートする会社です。
医療・介護・福祉に特化した無料の転職サポートを、大分県をはじめ全国で提供しています。
看護師1年目で転職を考える前に、自分の状態を確認する

つらさの内容を分け、心身の安全や生活への影響を先に確かめましょう。
1年目に感じる不安には、慣れる過程で生じるものもあります。
一方で、健康や安全に関わり、早めの対応が必要な悩みもあります。
まずは出来事と自分への影響を分けて、現状を整理しましょう。
「できない」と感じる場面を、具体的に書き出す
新人の時期に、分からないことや手技への不安があるのは自然なことです。
ただ、「いつもできない」と捉えると、何に支援が必要かが見えにくくなります。
たとえば、急変時の報告が不安、業務の優先順位がつけにくい、夜勤前の説明が足りない、質問すると強く責められる、といった具体的な場面にして記録してみましょう。
次に、その場面で誰に相談したか、どのような返答があったか、同じことがどのくらい続いているかを書きます。
教育の進め方を調整すれば改善しそうなのか、部署全体で安全に確認する仕組みが弱いのかを考える材料になります。
自分を責めるための記録ではなく、必要な支援を説明するための整理だと考えてください。
休養や受診を優先したいサイン
眠れない、食事が取れない、出勤前に動悸や強い吐き気が出る、休日も仕事のことが頭から離れず生活が保てないといった状態は、無理を重ねないでください。
ミスへの恐怖で極端に集中できない場合は、患者さんの安全にも関わります。
転職するかどうかを急いで決める前に、まず休養を取り、医療機関や信頼できる人に相談することが必要な場合があります。
「新人だから弱音を言えない」と一人で抱え込む必要はありません。
厚生労働省の働く人向けメンタルヘルス情報サイト「こころの耳」では、仕事の悩みや心身の不調に関する情報、相談窓口が案内されています。
危険を感じるほどつらいときは、退職や転職の手続きよりも、今の自分を守る行動を優先してください。
ハラスメントや危険な勤務は我慢の対象ではない
人格を否定する言動、必要な指導の範囲を超えた叱責、相談しても改善されない危険な勤務などは、「新人だから仕方ない」と受け入れるものではありません。
事実、日時、場所、言われたこと、自分が相談した内容を、無理のない範囲で記録しておくと、相談するときに状況を伝えやすくなります。
直属の先輩に言いにくいときは、師長、教育担当、人事、外部の相談窓口など別の相談先も検討しましょう。
ハラスメントに該当するかを自分一人で判断する必要はありません。
厚生労働省も、職場でのハラスメントは、該当するか微妙な場合を含めて広く相談に対応することを示しています。
心身への影響が強いときや、相談後も状況が変わらないときは、職場の外に相談する選択もあります。
看護師1年目が現職で相談できること

一人で結論を急がず、信頼できる先輩や相談窓口に状況を言葉にしてみます。
転職を考えたとき、現職で調整できることが残っている場合もあります。
相談の目的を「辞めるかどうか」だけにせず、必要な支援を伝えます。
改善の見込みと期限を確認すると、次の判断がしやすくなります。
教育や振り返りの機会を求める
不安な業務があるときは、「もっと教えてほしい」と漠然と伝えるより、何をどのように確認したいかを具体的にします。
たとえば、採血や点滴の手順をもう一度見てもらいたい、夜勤前に優先順位の考え方を振り返りたい、報告のタイミングを確認したい、といった伝え方です。
必要な支援が明確になるほど、教育担当者も対応を考えやすくなります。
厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインは、現場での教育、集合研修、自己学習を組み合わせ、段階的な能力の獲得を支える考え方を示しています。
実際の教育体制は施設ごとに異なりますが、質問や振り返りができる環境は重要です。
面談の機会や、できたこと・次に確認することを共有する仕組みがあるかを相談してみましょう。
勤務や配属の調整が可能かを確かめる
夜勤や残業による負担が大きい場合、夜勤開始時期、勤務回数、休憩の取り方、配属先での役割を相談できることがあります。
すぐに希望どおりの調整ができるとは限りませんが、何が難しく、どのような条件なら働き続けられるかを整理して伝えましょう。
体調のことを話すのが難しい場合でも、業務上困っている具体的な事実から相談を始める方法があります。
異動で環境が変わる可能性があるなら、時期、配属候補、教育の引き継ぎを確認します。
反対に、勤務体制や教育方針そのものが自分に合わず、改善の見込みも低い場合は、転職を選ぶ理由がより明確になります。
残る場合は「いつまでに何が改善されるか」を確認し、無期限に我慢しないことが大切です。
直属以外の相談先を持つ
プリセプターや先輩との相性が合わず相談しにくいときもあります。
その場合は、教育担当者、主任、師長、同期、産業保健スタッフなど、別の相談先を探しましょう。
相談相手を変えることは、誰かを責めるためではなく、安全に学び続けるための行動です。
相談の前には、伝えたいことを三つ程度に絞ると話しやすくなります。
「この業務で困っている」「このような支援があると助かる」「いつまでに状況を確認したい」と順に伝えてみてください。
相談後に何が変わったかを振り返ることで、現職に残る判断も、転職する判断も、感情だけに左右されにくくなります。
1年目の看護師が転職先で確認したい教育体制

教育担当・夜勤開始時期・相談の仕組みを、次の職場で具体的に確認しましょう。
早期転職をする場合ほど、次の職場の教育を具体的に確認します。
求人票に「研修あり」とあっても、内容は職場によって異なります。
入職後の任せ方と相談先を、応募前から確認しましょう。
中途入職者への教育と独り立ちの流れ
確認したいのは、入職時のオリエンテーション、配属後の同行期間、経験のない業務の確認方法、独り立ちの判断基準です。
1年目の途中で職場を変えると、以前の職場で学んだことと、新しい職場で初めて経験することが混ざります。
経験年数だけで一律に任せるのではなく、習得状況を見ながら支援してもらえるかが重要です。
面接では、できることだけを強調するより、経験がある業務と未経験の業務を正直に伝えます。
「この業務は経験がありますが、こちらは初めてなので確認しながら学びたいです」と話せると、入職後の認識違いを減らせます。
教育に関する質問への回答が具体的かどうかも、職場選びの大切な材料です。
相談相手とフォローの仕組み
教育担当者や相談相手が誰か、定期的な面談があるか、困ったときに勤務中の確認を求められるかを聞きましょう。
厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインでは、教育担当者や実地指導者などによる支援体制が示されています。
すべての施設が同じ形ではありませんが、質問を受け止め、振り返りにつなげる体制があるかは確認できます。
職場見学ができるなら、スタッフ同士の声かけや情報共有の様子も見てみましょう。
忙しい時間帯でも確認し合える雰囲気があるかは、安全に学ぶうえで大切です。
見学時の印象だけで決めず、質問への回答、雇用条件、教育の説明を合わせて判断してください。
勤務条件を生活の中で確かめる
給与や休日数だけでなく、始業・終業時刻、残業、夜勤、オンコール、通勤時間、試用期間中の条件を確認します。
日勤のみの求人でも、急な残業や業務の持ち帰りがないかで負担感は変わります。
自宅を出る時間から帰宅後の睡眠までを想像し、体調を保ちながら続けられる働き方かを考えましょう。
内定を承諾する前には、労働条件を必ず書面で確認します。
口頭で聞いた内容と違いがないか、不明点を質問できるかを見てください。
退職時期も現職の就業規則や雇用形態を確認し、焦って次の入職日を決めないことが大切です。
応募前に、経験と希望を短く整理する
1年目での転職活動では、経験の少なさを過度に気にする必要はありません。
ただし、現職で何を学び、何に困り、次はどのような支援が必要かを自分の言葉で説明できる準備は必要です。
受け持った患者さんとの関わりで心掛けたこと、報告や連携で学んだこと、練習中の業務を振り返り、メモにしておきましょう。
退職理由は、今の職場への不満を並べるよりも、次の職場で実現したいことを中心に伝えます。
たとえば「段階的な教育を受けながら、基礎的な看護実践を確実に身につけたい」「生活リズムを整え、長く看護を続けられる環境を探している」と整理します。
事実を隠す必要はありませんが、次へ向かう目的が伝わる言葉に整えることが大切です。
複数の求人を、同じ項目で比べる
気になる求人は、一件だけで決めず、同じ項目で並べて比較してみましょう。
配属予定、教育担当、夜勤開始までの流れ、残業、通勤時間、休日、試用期間、相談先などを表にします。
自分が現在困っていることに関係する項目を必ず入れると、入職後のミスマッチを減らしやすくなります。
「教育あり」という求人でも、集合研修の有無だけでは十分に分かりません。
勤務中に誰へ確認できるか、初めての業務をどのように練習するか、定期的に面談があるかまで聞いてください。
分からないことを質問するのは失礼ではなく、安全に看護を行うために必要な確認です。
退職と入職の予定に、休む時間を入れる
転職先が決まると、早く環境を変えたい気持ちから、退職と入職を詰め込みがちです。
しかし、心身が疲れている場合は、短くても休養の時間を考えることが必要です。
引き継ぎ、必要書類、生活費、通勤準備などを逆算し、無理のない入職日を検討しましょう。
現職の退職に関する手続きは、就業規則や雇用形態によって異なります。
退職の意思を伝える時期、有給休暇、引き継ぎの方法を確認し、分からない点は相談します。
人手不足への責任を一人で抱えず、ルールを確認したうえで誠実に進めることが、自分の次の働き方を守ることにもつながります。
迷いが残るときは、信頼できる人に「今の職場で改善できそうなこと」と「次の職場で必ず確認したいこと」を話してみるのも有効です。
言葉にすることで、転職が必要な理由と、今すぐ決めなくてもよいことを分けやすくなります。
十分な情報を集めてから選ぶことは、逃げではなく、自分と患者さんの安全を守るための準備です。
自分のペースで検討しましょう。
できる業務と支援が必要な業務をセットで伝える
経験した業務:指導を受けながらの受け持ち、観察・報告、記録。
単独で対応してきた範囲:院内で確認を受けた日常のケア。
支援が必要な範囲:未経験の処置、夜間の判断。
確認したいこと:同行・研修の内容、独り立ちの評価、指導者不在時の相談先。
架空の記入例です。「1年目の中途入職者の受入実績はありますか」「経験ごとに研修を調整できますか」と聞き、求人の必要経験と一致するか確かめます。
まとめ|看護師1年目の転職は、安全と教育を優先して考える

看護師1年目で転職を考えること自体を、必要以上に責める必要はありません。
まずは心身の状態と安全を確認し、現職で受けられる支援や調整を相談しましょう。
それでも改善が難しい場合は、次の職場で必要な教育、相談体制、勤務条件を具体的に確かめてから選ぶことが重要です。
参考情報:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン改訂版について」、厚生労働省「こころの耳」、厚生労働省「ハラスメント」、厚生労働省「労働条件の明示」、株式会社エスネットソリューション公式サイト、SNET転職ナビ。制度やサービス内容は更新される場合があるため、利用前に公式情報をご確認ください。
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